あいつは戦車が好きということ
他人の好き、に鈍感であったことのお話をします。
私はこの前とあるあいつとお出かけをしました。
私たちは家電量販店のゲームとかおもちゃのフロアを冷やかして楽しむことに決めます。
あいつはプラモデルが見たいと言います。向かいます。
着きました。戦車のコーナー。彼はうれしそうです。
右をみても左をみても下をみても上をみても戦車のプラモデルがあります。
天井をみるとさすがに天井があります。
そんな場所で彼は、立ったり座ったり、箱を引っ張り出したり、ひっくり返してみたり、「かっこいい」と言ってみたり忙しそうでした。
私は他人の好き、について知りたいと思うタチの、静かにしてればいいのにって人なので
「どれが一番好きなの??」
と聞きました。
これが後になって、なかなか変な質問だったと気がつきます。
彼は少し困っているようでした。迷っている、とも違って困っていたのです。
「逆にどれが好きよ?」
困った末に質問を打ち返してきました。パコーン(硬式テニスの音)。
私はあんまりよく分からないけれど、なんとなくカッコイイものを指さします。
「それはかっこいいね」「それはいついつのどこどこの国の戦車なんだ」「それは弾を受けたボルトが戦車の中で暴れて中の人を怪我させないためにボルトをなるべく使わない作りになってる」「これは着弾前にセンサーが反応して爆発するんだ」「キャタピラとカピバラを間違って作ってしまった戦車がこれだよ、すごく揺れるんだ」
彼が教えてくれたことのほんの一部です。言ってないことも書いていたらごめんなさい。
満足した私たちは、帰路につきました。お出かけはおしまいです。
彼と別れて少しして、あ、変なこと聞いたな私と思いました。
「どれが一番好きなの??」
「どれが一番好きなの??」
「どれが一番好きなの??」(エコーだと思って)
「一番とかないんだよな」
って言うと思います私なら。いやなんならあなたも言いませんか
「一番とかないんだよな」
って。
私はお笑いがある程度好きです。もし、「一番好きな芸人は?」と聞かれたら
「・・・東京03は好きなんだけど、それは単独ライブの最強さの話であって、ゆるい漫才でいったらおぎやはぎとかpoisongirlbandとかコマンダンテとかロングコートダディとか、キャラの人間性の作り込みで行ったらかもめんたるの右に出る芸人はいないし、これからグググっといくでしょう枠はからし蓮根だし、かが屋は良すぎるコントをするし、結局笑っちゃうのは千鳥だし、あと磁石の佐々木さんの顔がシンプルに好き・・・・だから一番とかない!」
ってなります。自分が好きで通じてるものって一番とかないと、自分を通して考えると分かるんですよ。でも私は
「どれが一番好きなの?」
ってぽろっと言ってしまった。
対象が違うだけで、好き、も別物のように考えてしまった(好き、が別物の場合もあるけれど)。
他人の好き、に鈍感だなと思ったある日でした。
好き、はとても主観的なものだから、誰かの好きを大事にすることは、その人の主観つまりはその人を大事にすることなんじゃないかという気がしています。
大事にしたいなぁ、人の好き。
後日、例のあいつとお話をしていました。
彼「俺、〇〇って本が好きだから、3冊買った。」
私「????」
彼「読ませたい人に配る。読んで、って言っても読まないでしょ?だから好きなものは買って配る。」
私「全然わかんないんだけど!!!!!!!!」
あー難しい難しい。