ふにふにおちる

21歳の大学生が書いています。いろんなことを腑に落とそうとします。

かぼちゃ

 

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             かぼちゃの馬車に乗りたいの。

 

 夢見る少女は大人になって、今コンビニをでたところ。手にはかぼちゃのサラダを下げている。お腹が空いた。でも、カップ麺を食べるなんてだらしのない事はしたくない。故にかぼちゃのサラダ。

 ビニール袋に入れたそれをぷらぷらさせながら私は、家に帰る。家では恋人が待っている。ぷらぷら。恋人は私の一個下。かぼちゃサラダぷらぷら。

 

くるっ。

 

ぷらぷらが度を越して1回転してしまった。かぼちゃサラダの大車輪。続けてくるっ、くるっ、くるっ。

 マンションの入り口が横目に入ったけれど、そのまま歩き続けることにした。かぼちゃサラダ、くるっくるっくるっ。楽しいわけじゃない。むしろ怒っている。いや、怒ってるわけじゃない。怒るべきことがない。くるっくるっくるっ。でも帰りたくない。退職理由や志望動機を書いてるあいつの姿を今は見たくない。くるっくるっくるっ。恋人は、すごい。たくさん転職活動をしている。いろんな仕事をしたことがある。恋人は、仕事が続かない。くるっくるっくるっ。まだ3ヶ月以上続いたことがない。恋人の悪いところは、仕事をやめてすぐに転職活動をはじめるところだ。やめて家でゴロゴロしていてくれれば、さっさと嫌いになれるものを、あいつはすぐ転職活動をする。まっすぐ、ひたむきに転職活動をするのはやめてほしい。諦めがつかないから。

 

ぐるぐるぐるぐる。

 

かぼちゃサラダを回す勢いがだんだん増してきた。やっぱり私は怒っているのかもしれない。あんなに苦労して転職したのに、また辞めるって言うから。いや、むかつくのはそこじゃない。私が

「そっか、良い仕事見つかるといいなぁ〜〜頑張れ〜〜〜〜」

って言ってしまったことだ。言いたいことが、言うべきことが、あったはずなのに。読んでる本を乱暴に閉じて、言わなきゃダメだろう。

 

ぶんっ!

 

私は私に怒っている。かぼちゃサラダ内村航平さながらに回っている。

 

ぶんぶんっ!!

 

「不甲斐なくてごめんね」

彼は仕事を辞めるたびに言う。そろそろ慣れろよ、と思うけれど、毎回辞めることは言いづらそうにするし、申し訳なさそうにしている。そして、ひたむきに転職活動を始める。ああ、むかつく。頼むよ、私。

 

ぶんぶんっ!!

 

結婚とかしたい子供とか欲しい一人で死にたくない。

 

ぶんぶんっ!!!!

 

だとしたら。

 

だとしたら。

 

ぶぉんぶぉんぶぉんぶぉん

 

 

 

 

 

なにを見ないふりしてんだよ。

 

 

 

 

 

 

怒って、お腹が空いて、家を飛び出して、コンビニで買ったかぼちゃサラダを私は振り回す。

 

ぶぉんぶぉんぶぉんぶぉん

 

ちゃんと夜は静かだから音がよく響く。肩が、痛い。でもやめない。かぼちゃサラダよ、回れ、回れ、回れ。

 

 次の瞬間、

 

ぴしっ

 

べちゅん

 

道路を挟んだ向かい側のビルの2階の窓に、べっとり張り付くオレンジの塊を見た。かぼちゃサラダ、着地。遠心力により袋の底が破れ、勢いよく飛び出したかぼちゃサラダが窓にぶつかり、パッケージの破裂とともに無残に張り付いた、という事が徐々に理解できた。

 私はぺたんと座り込んだ。ただ、べっとり張り付いたかぼちゃサラダを見上げていた。だらしないな、と思った。すごく食べたかったわけではないはずなのに、食べれなくなった途端にすごく食べたくなった。食べたかったなぁ、かぼちゃサラダ。もうべろべろ舐めちゃおうかな。2階だから無理か。残念だなぁ。

 私はずっと、そこに座っていた。

 男がやってきた。ひたむきな目をしている。

「帰ってこないから、心配で」

相変わらず、ひたむきだ。ひたむきに、仕事を続けてくれないだろうか。

「どうしたの」

私は、向かいのビルの2階の窓に目線をやった。彼はもちろん私の目線の先を見る。

「なにあれ!きたない!」

「私がやった。」

「え。」

「食べようと思ったのに、飛んでいっちゃった。」

彼はよく分かりませんという顔を3秒してから

「それは悲しいね!」

と言った。そして、コンビニの方に走りだした。

 

 4分後、相変わらずへたり込んでいる私の元に彼は戻ってきた。彼は手に下げたビニール袋から何かを取り出す。それは、ポテトサラダだった。

「ポテトサラダじゃなくてかぼちゃサラダだよ。」

もちろん私は言う。だってそうだから。

「僕は、ポテトサラダが食べたいから」

「…ああ、そう。」

がっかりした。チャンスだとも思った。今なら嫌いになれる。

 彼はポテトサラダのパックを開けて、中身を鷲掴みにした。そして、向かいのビルの2階の窓に向かってそれを投げた。綺麗なフォームだった。ポテトサラダは大きな弧を描いて飛んでゆく。まとったマヨネーズが夜の風に擦れる。

 

べちゅん

 

ポテトサラダは窓にべっとり張り付いた。かぼちゃサラダのぴったり左横だ。

「ポテトサラダをボールがわりに野球をやっていたことがあって。」

そんなわけないだろう。

「いやごめん。嘘。」

知ってるよ。なんの嘘だよ。

「これで、バランスが取れた。うん。僕はすごく食べたいポテトサラダを窓に張り付けた。窓につけちゃったのが1人だとバランスが悪いでしょ。ね。バランスも取れたことだし帰ろうか。」

 

ひたむき。

 

私はじわじわこみ上げる笑いをこらえきれなかった。しばらく笑った。彼も少し笑って

「帰ろう。」

と言った。

 私はゆっくり立ち上がった。そして、彼の背中に飛び乗った。べっとり、おんぶされてみた。今の私にはこれしかできない。でも、今の私にはこれができる。だらしない好きをこうしてやる。

 

かぼちゃサラダとポテトサラダはぴったり並んでいるし、かぼちゃの馬車には乗れなかったし、王子は何度でも転職をする。

 

 

タピオカと私の関係性について

 

 

タピオカと私の関係について、語り始めたところでそう長くはならない。

 

 

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私がタピオカと出会ったのはたしか、高校生の時だった。

部活帰りに、私より先にタピオカを通過した友達につれられ、まだその地方には少なかったタピオカ屋に行った。その友達の足はムキムキだった。私はセーラー服を来ていた。

 

 

 

シンプルなミルクティー味。注文したのはそれだったと記憶している。

 

初めてのタピオカ。丸くてプリプリとしたその姿にみとれた。

きっと、プチっと弾けて、口の中に楽園みたいなのが広がるに違いない。

 

プチっ、、、プチっ、、、❤️🌴❤️🌴(想像)

 

私は太いストローから、普通味のミルクティーとともに、黒い粒を吸い込む。

 

来るぞ、、、、プチっ、、、、、来いっ、、、、プチっ、、

 

 

 

、、、、、、、、、、、、、、、来る!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

もにっ、、、ぬちゃもにっ、、、、、、もにっ、、、、、

 

 

 

 

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

プチっじゃないんかい!!!!!!!!!!!!!

 

正直、あまり良い出会いではなかった。

 

しかし、その後もうまいかうまくないかそんなに気にしないまま

友に連れられ、友を連れ、タピオカをぬちゃぬちゃ噛んでいるうちに

なんとなくクセになってしまい今に至る。

 

 

 

私にとってタピオカとは。

 

 

 

この問いに私は立ち向かった。

 

時間をかけ、ご飯を食べるのも忘れ

 

時にうっすら涙を浮かべながら

 

必死に考えた。

 

そして、なんとかたどり着くことができた。

 

私にとってタピオカとは。

 

 

 

 

 

「うめぇ飲み物」

 

 

 

 

 

もう一度言わせてもらう。

 

私にとってタピオカとは

「うめぇ飲み物」

だ。

 

 

それ以上でも、それ以下でもない。

付け足すならば、「腹がふくれる」くらいか。

 

 

 

私の行動範囲には引くほどタピオカ屋さんがある。

 

長蛇の列を作り、タピオカを購入し、お店の前で撮影大会をしている。

 

私が思うのはその人たちにとってタピオカは

ただの「うめぇ飲み物」ではない、ということ。

 

「うめぇ飲み物」という以外にも、彼ら、彼女らに見えるタピオカには、何らかの価値があるようだ。

 

「見た目が可愛い」

「遊びに行くといえば、新しくできたタピオカ屋に行くのと同義(高校生の私もそうだったのかも)」

「初デートで何していいか分からずとりあえずタピオカ」

「クラスでのステータス」

「お父さんにねだって、やっと買ってもらえた」

(ちょっと意地悪な例もあるかもしれないが、問題はそこじゃない)

 

 

 

食べ物あるいは物に、それぞれの人が見出すいろんな価値がまとわりつく。

私が見るタピオカと、あなたが見るタピオカは違う。

それはとても面白いことだと私は思う。

 

 

 

 

20メートルの列に並んでまで、私はタピオカを買わない。

別に他の「うめぇ飲み物」をコンビニで買えば良いから。

 

でも、ある人は30メートルでも並ぶ。

その人にとっては、それだけの価値があるから。

 

 

人とモノが関わることによって生まれる「価値」で毎日は溢れかえっている。

みんな気がついているし、再三言ってきてるんだろうけど

私はタピオカによって強く感じた、というそういう話。

 

 

そんなことを書きながら私はミルクティーを飲む。タピオカは入っていない。

ミルクティーはうめぇ。あやつにこだわる意味などない!

 

 

ふと思い出す。

恋人がいちごチーズケーキ味のタピオカを頼んで

「(ミルクティーとか抹茶ミルクとかで良いな)」

と思いながらも2人でちゅるちゅるとタピオカを吸って、なんか楽しかった、ということ。

 

あーあ。ただのうめぇ飲み物ではなかったなぁ。

 

 

 

 

 

あなたとタピオカの話を聞きたいです。聞かせて。

 

 

 

 

 

 

 

 

4月5日「とんかつの油って肩こりに効くんだよ」今日は信じてあげる

 

ふに落ちないことを、ふに落として行きたいとか言ってブログをはじめましたが・・・

 

なんかもうなんでもいいですね!!!

 

忘れたくないこと、書いておきますね!

 

日記帳じゃなくて、ブログに書いているということはそういうことです!

察してください!!

 

 

新しい生活が始まりました。

 

お仕事を始めました。

 

1日目、家に帰って思ったことがあります。

 

私は、よく感じ、よく書き、健やかに生きたい、から

 

よく感じ、よく書き、健やかに生きることにだけこだわれば良いということです。

 

他にこだわりたいことはそんなにないみたいです。

だから何も背負うものはないのです。

 

よく感じ、よく書き、健やかに生きるために、これ以上無い場所だと思ったので、これからも毎日会社に行きます。

 

よく感じ、よく書き、健やかに生きるために必要がないなら、毎日行かないですが、必要なので毎日行きます。演劇もします。

 

ふふふ。楽しみ。

 

 

よく感じるために、その日の感情を、なるべく形にしないままで残すことにしました。日記の終わりに書き留めています。

 

4月1日 平成生まれだから汚れた川に落ちた桜を見て「汚ねぇ」と言う

4月2日 「相対的な安心なんていらねぇんだよ!!!」と怒鳴っているお兄さんも寝る

4月3日 「ムスッとしながら食べてもおいしいお肉を1つ、お願いします。」

    「仕方ないですね。」

4月4日 朝に聞く大好きな曲が嫌いにならない毎朝をノゾム!!!

4月5日 「とんかつの油って肩こりに効くんだよ」今日は信じてあげる

 

何にするつもりもない、ということだけ決めておきます。

うーん、今日のは短歌の文字数におさめてしまったから、目的にはそぐわないかなぁ。

 

 

よーし、出かけよう目がかゆいぞ〜〜〜

 

 

おっしまい

 

 

 

 

 

私はふふふっとなるものを書きたい人だから、だけど。

 

私はふふふっとなるものを書きたい人だから

 

あんまり、ふふふっとなれない、悲しいこと苦しいことを文字にして発信しないようにする。誰もふふふとならないんじゃないかと思う喧嘩のことは秘密。

 

私がふふふっとなるものを書きたい人なのは

苦しいこと、悲しいことが苦手なのにも由来する。

 

私が想像できない、「分かるよ」と言ってはいけない大きさの絶望的な感情と向き合うのが怖い。

 

今日はまだテレビを一度もつけていない。

 

つけることができていない。

 

私はふふふっとなるものを書きたい人だから、だけど、

 

怖くて怖くて仕方がないことがある。

 

「笑う」は沢山の苦しい悲しいの合間にあると思う。

 

私はふふふっとなるものを書きたい人だから

 

苦しい悲しいから目を背けたくない。

 

でも、今日はテレビをつけられない。

 

ご飯を食べて、寝ることにする。

 

ご飯を食べて、寝ていいのか。

 

ストッキングのつま先すごく臭くなった就職活動。

 

1年前、急に就職活動を始めた記憶があります。

 

インターンも行ってなかったし、SPIの勉強もしてなかったし、ESの書き方もしらなかったし、アシストしてくれるエージェント(後にやつらにペースを乱されることになる)のことも知らなかったのに、急に始めました。

 

「なんもしてなかったのに内定貰えたよ」「準備はしといた方がいいよ」とか言いたくて書くわけじゃありません。あくまで、私の思い出です。

 

私の就活用の写真、ES、その他諸々は「大きくなったら何になろうプロジェクト」というファイルに未だ収められています。

 

御察しの通り「大きくなったら何になろうプロジェクト」は「就職活動」のことです。ダサすぎます。知ってます。でも私の中でとても大事なことだったので「就職活動」ファイルは作りませんでした。私の中で大事なだけだからダサくたって良いのです。

 

5歳のときの私は「大きくなったら動物博士か英語の先生になりたい」と幼稚園主催の誕生日会で豪語していました。「どうぶつ奇想天外!」が好きなだけだったし、英語は習ったことすらありませんでした。それに加えて、舐め腐った「or」発言。どうしようもなくかわいいですね。

 

その後、機会があれば「税理士になりたい」だの「球団のマネジメントしたい」だの「芸人になりたい」だの吐き散らかす子供でした。

 

それから16年経って、21歳になった私の耳によく入ってきたのは「就活めんどい」「やりたくない」

 

なるほどなるほど。そういう気持ちがあるのも当然。私にだって無いわけじゃない。

 

ただ、私はその気持ちのまま頑張れるほど強くないなぁと思ったので、5歳児の気分をファイル名に載っけてみました。

 

何かになりたいと思うことと、就職活動って遠くはないなぁと。場合によっては同義だなぁと。ダサファイルの完成です。

 

始まりました就職活動。

 

5ヶ月後くらいに気がついたら終わってました。

 

私がその5ヶ月で得たのは

「世の中には私が居やすい場所と居にくい場所がある」

という事実でした。

 

自分が強めのHSPであることに気がついたのもその期間だった気がします。

 

「居にくい場所がある」事に気がつくのは悲しいことでしたが、「居やすい場所がある」ことは大きな救いでした。

 

大学で学んだ事を聞かれたとき、私は「言葉には限界もあるということ」と言うようにしていました。言葉は記号なのだから、伝わること伝わらないことがある。「言えば伝わる」なんて簡単なものではないから、言葉を尽くしたりして関わりたいね、という補足をしながら。

 

それに対して「あなたはネガティブですね」と仰った面接官がいました。

 

「居にくいな」と思いました。圧迫だかなんだか知らないけれど、悲しくなりました。「言葉の限界」ってこういうことか、と。こういうことですよ、聞こえますか、言いませんけど、と。

 

別の企業で同じ事を言ったとき

 

「日本語日本文学コースで4年間学んで、演劇とお笑いをやって、言葉を使って使って、行き着いたのがそれか…面白いね」

 

あ、「居やすい」と思いました。居やすい場所が1つでもあると安心です。1つあるとそれに似た2つ、3つがある気がしてくるし、実際にありました。

 

私は、そんなに面接でベラベラ自分をアピールできるタイプではありません。考えて、考えてから喋りたい気持ちもあって、静かになってしまうことも多々ありました。

 

それを「自分に自信がない」と言われることがあった一方で、「寡黙さが、逆にアーティストっぽくて良いね」(分かるようで分かんないけど)と褒めてくれる企業もあるんですこれが。

 

居にくい場所が多めな人間なのかもしれないと思いつつも、居やすい場所も確実にある、救われたぁ…

 

大事な5ヶ月でした。

 

あと、パンプスで1日歩き回って、家に帰ってなんかくさいなぁと思ったらストッキング!!生足みたいなもんだから、そりゃくさいか!

 

毎日足臭かったなぁ。先っぽの方が特に。

 

どんなにフルメイクなあの子も、すげえハイスペックであることを語っているあの子も、みんなみんな足が臭い!!ストッキングにパンプス履いてんだもの。

 

以上、就職活動の思い出。

 

 

台本 『おしゃべりとチャウダー』

『おしゃべりとチャウダー

作・上牧晏奈

 

登場してくる仲間

おしゃべりちゃん・・・料理と仲良し

ジャガイモ・・・小2個

人参・・・一本

玉ねぎ・・・一個

ベーコン・・・3枚

あさりの缶詰・・・1缶

水・・・400mlくらい

牛乳・・・400mlくらい

バター・・・2カケ

コンソメ・・・1カケ

塩コショウ・・・少々

小麦粉・・・大さじ2杯

 

  おしゃべりちゃんがキッチンに立っている。

  手を洗って、料理を始めるようだ。

 

おしゃべり「あーあ。玉ねぎ買い忘れて、もう一回出かけたのはロスだったなぁ。くそー。あーもうムカつくなぁ。」

水「じゃばじゃば」

おしゃべり「いや、作るよ。クラムチャウダー食べたいし、ムカつくからって作るのやめたら、元も子もないでしょ」

ジャガイモ「カサカサカサカサ、プチッ、ゴロゴロ、ドロドロ」

おしゃべり「私さ、こう見えても料理と仲良しなのよ。」

ジャガイモ「しゃっしゃっしゃ」

おしゃべり「上手いとかじゃないよ。でも仲良し。料理の方が私と仲良しだと思ってるかは知らないけど。得意か苦手かって言われれば、むしろ苦手なんだけど、好きなんだよねぇ。だって!一人ですればさ、たらたら手際悪くやっても怒られないし、自分の思うがままの時間なんだよね料理って。しかも、しかもだよ!」

ジャガイモ「しゃっ」

おしゃべり「あ、ごめん喋りすぎか、、でもこれだけは言わせて!なんか下手なのに、美味しくなるんだよ!私が作る料理!これすごくない?たぶん、料理と仲良しなの私。」

ジャガイモ「つるつるつるつる」

おしゃべり「でしょ??」

人参「ゴロゴロゴロゴロ」

おしゃべり「ん?」

人参「すーーーっすーーーっすーーーっ」

おしゃべり「えーーーーバレてんのかーーーー。いやそうなんだよね、不安というか悲しいというかなんか怒りのような気もするやつ。あーーーーーー。」

人参「すーーーっすーーーっすーーーーっ」

おしゃべり「うーーーーん。お前に全部言ってもしょうがないから、ぎゅっとするとさ、「今正しいこと言わないで・・・分かってるから、分かってて苦しいから、正しいこと言わないでーーーー」ってことなのよ。分かる?」

人参「ぴかぴかぴかぴか」

おしゃべり「そうだよね笑」

玉ねぎ「ぺりぺりぺりぺり」

おしゃべり「ああああああああ、やだ」

玉ねぎ「ぺりぺりぺりぺり」

おしゃべり「もおおおおおおおお、やだ」

玉ねぎ「ぺりぺりぺりぺり」

おしゃべり「どこまでも剥けるね君」

玉ねぎ「・・・」

おしゃべり「終わりか」

 

  おしゃべりちゃん野菜を切り始める

 

ジャガイモ「さく、さく、さく、さく、さくさくさく、さくさくさくさく、さく、さく、さく、さくさくさくさく、さくさくさくさく、さくさくさくさく、じゃぼん」

人参「かりっ、かりっ、かりっ、かりっ、こつん、かりっ、こつん、かりかりかりかりかりかりかりかり、こつんこつんこつん、かりかりかりかりかりかり、じゃぼん」

おしゃべり「夢中になっちゃうもんだね笑」

玉ねぎ「しゃくっ、しゃくっ、しゃく、しゃく、しゃく、しゃく、しゃこしゃこしゃこしゃこしゃこしゃこ」

おしゃべり「上手くなったと思わない??」

玉ねぎ「しゃこっ」

おしゃべり「だよねーー。一人で暮らしはじめた頃はやばかったよね。」

玉ねぎ「しゃこ、しゃこ、しゃこ、しゃこ、しゃこ、しゃこ」

おしゃべり「あーーー笑。そんなことあったねーーー笑。」

玉ねぎ「しゃこ」

おしゃべり「ごめんって笑」

ベーコン「・・・」

おしゃべり「いいね、君」

ベーコン「にゅっ、にゅっ、にゅっ、にゅっ、にゅっ、にゅっ、にゅっ、すーーーーーーーーーーーっ」

おしゃべり「・・・よしっ」

 

  おしゃべりちゃんコンロに火をつける。チッチッチ。

 

おしゃべり「いけっ!」

バター「じゅっじゅっじゅわわわわわわわわわ」

おしゃべり「最高。」

ベーコン「・・・」

おしゃべり「行ってらっしゃい〜」

ベーコン「ちゅうちゅうちゅうちゅう」

おしゃべり「(嬉しそう)・・・・・・・・・・・・とどめだ!!!」

ジャガイモ人参玉ねぎ「ゴロゴロゴロゴロっ!!!!!!!!」

おしゃべり「ふぅ」

鍋の仲間(鍋に入っている仲間たちのこと)「しゅわわわわ、ころころ、しゅわわわわわわ、ころころ」

おしゃべり「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

鍋の仲間「しゅわわ、ころころころ、しゅわわわ、ころころころ」

おしゃべり「あーーー、やっぱすっごい嫌だ、もーーーー、えいっえいっえいっ」

鍋「ごつん、ごつん、ごつん」

おしゃべり「私にも、強い気持ちがあったわけですよ。確かに間違ってたかもしれないよ?てか間違ってるよ。でもさ、間違ってても譲れないっていうのも相当相当苦しくて。私は十分苦しかったの。それをさ、正しいことでべチンべチンってされるともう無理なわけよ。ねぇ!!!!」

鍋の仲間「・・・」

おしゃべり「ごめん、水だ水」

水「じょぼぼぼぼぼぼぼ」

鍋の仲間「じゅっ・・・・・・・・・・くつ・・・・・・・」

コンソメ「ひゅーーーん」

鍋の仲間「ちゃぽん」

あさり「ぽとぽとぽと」

鍋の仲間「ぼちゃぼちゃぼちゃ・・・・・・・くつ・・・」

おしゃべり「まさかこの人にべチンべチンされると思ってなかったってのもしんどくてさぁ。あーーーーーーーーーーー。「正しいこと言わないでください、分かってるんで、辛いんで」って言うこともできるけど、正しいこと言ってる人にそれが届くとも思えなくて、もうこうなるしかないんだよなぁ。ああああああああ。無理。すごい無理。」

鍋の仲間「・・・・・・くつ・・・くつくつ・・・・くつくつくつ・・」

おしゃべり「・・・」

小麦粉「・・・」

おしゃべり「・・・・・」

小麦粉「・・・」

おしゃべり「・・・え!!!!うそ!!!!なんでそこにいるの!!水入れる前だよお前の出番は!!うぁああああ、入れ忘れたまじか!!!!え、今から入れて間に合うのかな、え、もういいや入れちゃえ!」

小麦粉「だまだまだまだま」

おしゃべり「うわ、全然溶けないじゃん!!固まるじゃん!!!ぎゃあああああ!」

小麦粉「だまだまだまだま」

おしゃべり「もう絶対無理だ、失敗。もおおおおおおおおおおおお。」

鍋の仲間「くつくつくつくつ」

おしゃべり「うるさいなぁ!!!」

鍋の仲間「くつ・・・・・・・」

おしゃべり「・・・・・・」

牛乳「じょぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ」

おしゃべり「・・・」

鍋の仲間「・・・・・こと・・・・こと・・・・・・ことこと・・・」

おしゃべり「もういいわ」

 

  おしゃべりスマホをいじる

 

チャウダー「ことことことこと・・・・」

おしゃべり「・・・」

チャウダー「ことことことこと!!!!!!!」

おしゃべり「・・・」

チャウダー「ぐつぐつぐつぶくぶくぶくしゅわわわわわわわわわ!!!!!!」

おしゃべり「・・・・わ!!うわあああああああ!どうしよ!え、火か!」

チャウダー「しゅわわわわ・・・・・・・・ことこと・・・・」

おしゃべり「うっっわ。最悪。めっちゃ分離してる。ああああああ。全部うまくいかない。もうダメだ絶対まずい。・・・はぁ・・・」

チャウダー「ことこと、ことこと」

おしゃべり「・・・」

チャウダー「ことこと、ことこと」

おしゃべり「・・・」

チャウダー「ことこと」

おしゃべり「・・・ごめん」

チャウダー「こと」

おしゃべり「いくら仲良いからって、こんな当たり方したらダメだよね 。そりゃ失敗もするわ。」

チャウダー「・・・」

おしゃべり「ごめん」

チャウダー「・・・・・ほかほか」

おしゃべり「よしっ。食べよ。」

 

  おしゃべりちゃん器にチャウダーを盛る。器とスプーンを持って座る。

 

おしゃべり「ごめんね」

チャウダー「ほかほか」

おしゃべり「いただきます」

 

  おしゃべりちゃんチャウダーを一口食べる。

 

チャウダー「トロトロ」

おしゃべり「・・・」

 

  おしゃべりちゃんチャウダーを飲み込む。

 

おしゃべり「うま」

 

  許されているうちに気が付きたい。

 

おしまい

 

 

雑なのでたまーに編集して整えてるかもしれないです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

引きこもり向きではあるが、プロの引きこもりにはなれない。

 

今、引きこもりにまつわる演劇に音響として関わっています。

だから、引きこもりのことを書きます。

 

私は引きこもることが好きです。

家に一日中引きこもることが全く苦でありません。(ただし、潤沢な食料と温かい寝床がある場合に限る)

気がつけば「あれ最近誰にも会ってないな」と思うことがあります。

「最近何してるの?」って聞かれて「何もしてなかったなぁ」「家にいたなぁ」と思いながらも「美味しいご飯食べに行ったよ」とか「人に会ってたよ」とか「ザリガニ相撲の行司をしていたよ」とかいろいろ誤魔化しているところもあります。大抵「あ、こいつ何もしてないな」と見抜かれて、ぽけっと生きてるやつと思われている気がします。世の中甘くない。

 

では、なぜ私が引きこもりに向いているのか。

シンプルに言えば、自分のことを考えるのが好きだから。

他人と一緒に自分のことを考えることもできるけど、自分のことを考えるのに最も適した場所は、家、です(私にとっては)。昨日も帰って来た場所で、明日も帰ってくる場所に私は座って考えます。誰かに言った一言や、言わなかったこと、言われたこと、みたもの、思ったこと、これまでのこと、これからのこと、ソトから私に入ってくる刺激は考え事の餌食になります。

内に内に思いを巡らせているときに、ソトの刺激が入ってくると、キャパオーバーです。ダダダダダム決壊。私は空っぽなのにパンパンなので。お恥ずかしいことに。それゆえ、ソトの刺激の権化である「テレビ」もあんまり使われません。ニュースが一番苦手です。観るべき知るべきなのは分かっていても、自分にどうしようもないところで人が亡くなったとか、自分が一票持っていても上手くいかない政治のこととか、もうダダダダダ。抱えきれない。

 

たまに(たまにであって欲しい)、他人と一緒にいるのに自分のことを考え始めてしまうことがあります。オープン引きこもりです。考えれば考えるほど言葉は少なくなります。就職活動をしている時、私のことを寡黙だと言った企業がありました。きっとオープン引きこもりを面接でかましたのでしょう。

 

でも、でも、です。私はプロの引きこもりにはなれません。注1

なぜなら、私の考え事はソトから始まるからです。そして考え事の多くはソトに持ち出されてさらに進んで行きます。

本当にソトに触れなくなったら、実は私は自分についての考え事ができなくなると思います。もしくは自分についての考え事で自分を滅ぼす気がします。ソトに出ることによって引きこもれる人間なのですきっと。

ソトからの刺激を解釈するのに、静かで安全な場所とちょっと多くの時間が必要なだけかもしれません。それが結果として引きこもりに見える。

 

だから、引きこもり向きではあるが、プロの引きこもりにはなれない。

 

以上、引きこもりについて私が思うことでした。

 

 

 

注1 プロの引きこもりに会ったことがないなと思いましたが、プロの引きこもりは引きこもっているのだから一生会えない!!!これは発見です!!!